Eyes Wide Shut

キューブリックが映画の中で音楽を効果的に使用するのは定評がある。
『アイズ・ワイド・シャット』ではリゲティやショスタコーヴィチなどの曲が使用されているが、特にトムクルーズ演じるビルが何者かに尾行されているシーンで使われる、リゲティの『ムジカ・リチェルカータ』は不気味な緊張感を演出していて印象的だ。

『時計じかけのオレンジ』でのベートーベン『第9』も、とても印象深いものがあった。
薄気味悪い裸婦の絵と蛇。常識外れな4体のキリスト像…
その後に繋がる、アレックスがパンツ一丁で尻をボリボリかきながら廊下を歩くところも私の好きなシーンのひとつだ。
うまく表現できないが、70年代的輝きが潜在意識と交差する瞬間がある。

『アイズ・ワイド・シャット』の中で、尾行されているビルが隠れるようにカフェに入ると、モーツァルトのレクイエム『みいつの大王』が聞こえてくるシーンがあるのだが、なぜか私はその曲に、キューブリックらしい独特な輝きを感じた。

(レクイエムを選曲した意図として読み取れるのは、”生と死”の対比、”権力と弱者”の対比である。
それはビルの持っている新聞の文字からも読み取れる)

クリスマス時期の店内BGMがたまたまレクイエム『みいつの大王』という設定であり、特別印象的でもないのだが、ぼんやりと私の中だけで、キューブリック映画作品にみられる一貫した問題提起をも思い起こさせた。
それは人間の本質的”危うさ”、すなわち”弱さ”であり、ときに人間は自己崩壊に捕われる。
キューブリックはその問題を様式化して表現したり、ユーモラスに提示したりすることで、社会的責任のみならず、自らの好奇心さえも満たしたのだろう。

ギリシャ神話『イカロスの翼』を引き合いに出し、キューブリックはこう述べる。

(父は息子のイカロスに高く飛びすぎないよう忠告する。
高く飛びすぎると太陽の熱で羽のロウが溶け、翼を失ってしまうからだ。
だがイカロスはその忠告を無視して高いところまで飛び、翼を失い、海に落ちる。
物語の一般的な教訓は「高く飛びすぎないこと」である)

「だが、こうも考えられる。”ロウと羽を捨て、いい翼を作れ”と」

 

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The Shining


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増殖する狂気の無限ループ

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戦争と平和

今日は広島平和記念日である。

映画『2001年宇宙の旅』の通奏低音でもある”人類の進化”。

人類は道具を使い始め、両手を自由にする為に2足歩行を行い、安定した2足歩行は脳を発達させる。
だがそれは、敵を殺害する、という極めて男性的なイメージに起因する。
そして道具(武器)を発展させることで独自の進化を遂げた人類は戦争を繰り返し、科学者によって”核”が生み出された。

そういった意味において”ヒロシマ”は人類史上の、一つの頂点ともいえる出来事であった。

『2001年宇宙の旅』の続編である映画『2010』は、私にとって観るに耐えない駄作だが、その物語となる「新たな人類の進化」、それはまさに人類による”核の廃絶”である。

今日、2010年の広島平和記念日は、核保有国である米英仏の主要人物が初めて列席するという、”核廃絶”を強く訴える歴史的な記念日となった。

これが偶然なのかどうかは分からないが、この事実が、「新たな人類の進化」であることを祈るばかりだ。

2001年宇宙の旅

インセプション繋がりで、10年ぶりくらいにキューブリックの『2001年宇宙の旅』を観た。
(思い出した。この前に観たのは2001年。東京から大阪へ向かう新幹線の中だった。
 ノートパソコンを使って観たのだ。『2001年東海道の旅』)

今でも最も好きな映画であり、もっとも美しい芸術作品だと思っている。
1968年に公開された映画だが、まったく遜色がなく、更に輝きを増しているのが驚かされる。

ところで『2001年..』のBDは特典映像も充実していて、音声解説も付いている。

デイブとフランク、2人の宇宙飛行士の、船内での”孤独”な日常シーンの中に、フランクがコンピューターのハルにチェスでチェックメイトされるシーンがあるのだが、その中で、デイブ役のキア・デュリアが、「後日談だが、あるチェスの達人が、シーン中の駒の動きにミスがあることを指摘した。
キューブリックはチェスにかけては、金を稼いでいたほどの名人だ。(そんなミスを犯す訳がない)
キューブリックはわざと駒の動きを間違えたのだろうか? 真相は謎だ」と語っていた。

この点については単純に、ハルが既に誤作動を起こし始めている事を示唆している、あるいは、ハルがわざと駒の動きを間違え、フランクが気付くかどうか試した、などというストーリー上の設定と考えるのが自然だろう。
(もしも本当に駒の動きにミスがあるのであれば)

ほとんど誰も気付かないようなマニアックなアイディアが、この映画には随所に散りばめられてあるようだ。
だが、決して説明的ではない。
そんな極自然なリアリティが普遍的でもある。

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